親の本音から学ぶバレエ発表会の運営のしかた

親の本音から学ぶバレエ発表会の運営のしかた
Pocket

日本のバレエ学習者は2016年時点で約35.8万人。5年前の2011年の約40.0万人と比べると、11%減になるといいます。

『バレエ教育に関する全国調査2016』調査結果 / 小山久美(昭和音楽大学)海野敏(東洋大学)著

5年間で11%も減少したわけですが、何が原因でしょうか? 人口が減少したから? 上述の『バレエ教育に関する全国調査2016』調査結果は、この11%減は人口減少率を上回り、バレエ教室市場が縮小していることを示していると指摘しています。
「バレエ教室市場が縮小している」とはどういうことでしょうか?
端的に言えば、それは「バレエ教室に入る人よりバレエ教室を辞める人の方が多い。しかも年齢が理由ではない」ということです。

なぜ、せっかく入ったバレエ教室を辞めてしまうのでしょう?
よく挙げられる理由は「進学・進級」ですが、どうやら、これは口実のようです。
本音の一つは、「バレエ発表会の親の負担が大きすぎるから」ということらしいのです。
その辺の事情は、whiteblue's dairy の人気記事 バレエの発表会を終えて思うことを読むと、垣間見えてきます。

親がバレエ教室を辞めさせたくなるとき

ブログ記事を要約すると、・・・

このブログの筆者whiteblueさんは、お子さんをバレエ教室に通わせているお母さんで、もう一人下にお子さんがいます。
お子さんが通っていたバレエ教室では、バレエ発表会の経費がざっと1人15万円くらい(月謝は別)で、お母さんたちのボランティアグループが中心になって運営しています。
お母さんたちは、発表会当日「会場の案内係」、「子供の世話係」、「楽屋の世話係」までこなします。ただし、生徒以外の子ども連れボランティアはNG。
筆者は下のお子さんを連れてこざるを得ず、先輩ボランティアに嫌な顔をされた挙句、楽屋係に回されて本番が見れなかったとのこと。
バレエをしているお子さん自身も以前からバレエ教室を辞めたがっていたこともあり、発表会に嫌気がさしたwhiteblueさん母子は発表会終了のタイミングでバレエ教室を辞めてしまいました。
さらに、後日談として、同じバレエ教室に通っていたお子さんのお母さんも翌年、発表会のごたごたで辞め、その後、親の負担の少ない別のバレエ教室に乗り換えたという話も付け加えられています。

さて、whiteblueさんのブログ、どう思われましたか?
「バレエ発表会が15万円なんてマシなほう」
「バレエ発表会をボランティアのお母さんが見れないなんて当たり前」
という人もいるでしょう。でも、あなたがバレエ教室を経営もしくは運営する側ならば、それを言ってはいけません。こうした現状に順応できるお母さんのみに依存していたら、あなたのバレエ教室も先細りになってしまいます。
言うまでもなく、バレエのような習い事は、保護者の理解と協力が欠かせません。
"15万円も払って、ボラティアもしているのに、親が自分の子どもの本番のステージが見れないなんておかしい!"
そういうお母さんの声にも耳を傾け、いま「当たり前」になっているやり方を変えていきましょう。

バレエ発表会はプロに仕切らせよう

では何をどう具体的に変えればいいのでしょうか?
ズバリ、バレエ発表会はプロに仕切らせましょう。といっても、弊社はバレエ発表会の仕切りをする業者ではありません。会社の宣伝をするつもりはありませんので、安心して読んでください。

これまで、バレエ発表会の運営は母の会などの後援会主体で行うのがふつうでした。母の会は残したまま、発表会の当日だけ、仕切りができるプロに絡んでもらい、託児スペースと託児スタッフの手配、場当たり、会場係、楽屋係などを仕切ってもらいましょう。お母さんのすることは、自分の子どものヘアセット/ベースメイクくらいで、あとは、ゲネプロ・本番をしっかり見てもらうこと。

「プロは高い」と思われるかもしれませんが、それはイベント業者に丸投げするから高くなるのであって、ほんとうに必要な作業だけ依頼すれば、小人数で回していくことができ、人件費をカットできます。そうすれば、一人数千円程度の増額で、お母さんたちはバレエ発表会を見ることができるでしょう。

見積仕様で最適な業者を選別しよう

しかし専門業者というのは、とかく、買い手の話を受け流し、自分の売りたいサービスを売り込む傾向があります。しかも話がうまいので、つい、相手が売り込むサービスも必要な気がしてしまいます。そして結果として、「やっぱり高くついた」「あれ、ムダだった」ということになりかねません。
では、どうすれば、適切な業者を選べるでしょうか?

これには二段階の作業が必要です。

第一段階では、業者と接触する前に、依頼すべき作業を決めます。
そのために、まず、これまで発表会を仕切ってきた母の会の幹部に話を聞き、発表会のために母の会が行ってきた作業を箇条書きにしましょう。
次に、そのうち、何と何を委託すれば、お母さん全員が本番を見れるか、また素人がすると品質に問題が出て、仕上がりが好ましくない作業は何か、検討しましょう。

委託する作業が決まったら、これまでの実績から委託する作業の料金を算出し、後で参考価格として使います。人件費の見当がつかない場合は、人件費抜きでもかまいません。なお、参考価格は外部には見せません。

第二段階として、バレエ会を仕切れそうな業者(複数)に見積仕様を依頼します。
見積仕様とは、依頼者側からどんな作業をしてほしいのか条件を具体的に指定し、それに基づき、各社見積をしてもらうことです。つまり、第一段階で決めた依頼すべき作業を条件にして、それぞれの作業に対して、見積額を上げてもらいます。こうすれば、作業ごとに業者同士を比較することができます。他社と比べて、際立って安い見積額を付けた作業があり、それが合計金額の安さに繋がっているような場合、あるいは、参考価格と比べて極端に差が大きい場合、その作業の見積額の根拠を聞くことで、その業者がほんとうに力があるのか、いい加減な業者なのかわかります。
そうした過程を踏んで、適切な業者を選びましょう。
バレエ発表会運営のための見積仕様

お母さんにバレエを楽しんでもらおう

バレエ発表会をプロが仕切るようになると、母の会はそれまでの重い負担から解放され、人間関係にぎゃしゃくすることもなく、我が子のバレエを楽しめるようになります。お母さんがバレエを楽しむようになれば、将来、子どもが挫折しそうになったとき、お母さんが励まし、バレエを続けるように子どもを説得してくれるでしょう。

まとめ

バレエの学習者人口が、人口減少率を上回る勢いで減っています。このことは、バレエ教室という業界全体が縮小傾向にあることを示しています。この縮小傾向を打破し、拡大傾向に転じるためには、子どもがバレエ教室を辞めないようにする必要があります。そのためには、教室を辞める契機となりやすい、バレエ発表会のお母さんの負担を軽減し、お母さんも我が子のバレエを楽しめるようにするのが有効です。お母さんなら、子どもが挫折しそうになったときも、励まし、バレエを続けるように説得できるからです。

Pocket

コメントを残す