演奏会を動画にするとき、最低限必要なこと

演奏会を動画にするとき、最低限必要なこと
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YouTubeで音楽、とくにクラシック音楽を聴く人はよくご存じのように、動画の多くは動画ではなく、静止画です。
アップロードするデータがCDであったりするため、動画がなく、その代わりにジャケット写真が掲載されたりするのです。
だからといって、そうした音楽動画は、映像のついているものと比べて評価が低いかというと、けしてそんなことはありません。
映像がついていようが、いまいが、そんなことに関係なく、すぐれた音楽や貴重な演奏は再生回数が多く、高い評価がつきます。
人は、音楽動画を"見る"のではなく、"聴く"のです。

撮影よりも録音

ここに音楽動画を作る最大のヒントがあります。
動画だからといって、必ずしも映像が必要なわけではないのです。
音楽動画の場合は、写真などの静止画でもかまわないのです。むしろ重要なのは音源です。
ですから、主催者が演奏会や発表会を音楽動画にする場合、レコーディングエンジニアを確保するのが先決です。
撮影業者も音声収録スタッフを付けてくれることもありますが、正直にいうと、撮影業者の音声収録スタッフとレコーディングエンジニアでは、知識と技術力に雲泥の差があります。
もし、予算がなければ、撮影業者はやめて、その分、レコーディングエンジニアにお金をかけるべきです。
もし、レコーディングエンジニアすらきびしいのであれば、専任の録音スタッフを選出しましょう。

録音スタッフは努力を惜しまない、誠実な人が望ましいです。

どう録音するか

高音質な録音を実現するためには、ちゃんとした機材とそれを使いこなす技量が必要です。
素人の録音スタッフにそれを求めるのは、酷な気もしますが、機材に関してはよい手があります。
演奏会や発表会を、プロが使うような音楽ホールで開催するのです。
こうした音楽ホールでは、レコーディング用の録音機材が揃っていて、しかも最適な位置から音源が録れるように、吊りマイクが設置されています。たいてい有料ですが、機材を自前でそろえることを考えると、借りる方がはるかに合理的です。
基本的な使い方は、ホールの人に教えてもらえますが、微妙な調整などは録音スタッフがしなければなりません。
ですから、録音スタッフにその機材に慣れてもらうため、リハーサルも本番のホールで行い、本番さながらに、録音してもらいましょう。

録音は、写真撮影のように、狙って録る必要はありません。演奏前、演奏後に余計な音が入っても、まったく構いません。あとで編集すればいいだけですから。
その代り、演奏は取りこぼしがないようにすべて録ります。演奏の直前・直後、演奏中に、咳払いやケータイの着信音などが入っても仕方ありません。録り損ねだけはないように。

ところで、録音はPCMなどの非圧縮モードにしましょう。
インターネットではよくMP3が使われるので、録音データもMP3にしてしまう人がいますが、これはNGです。MP3は圧縮形式なので、このまま動画編集すると、さらに音声が圧縮され、音質が悪くなります。(← かつて、筆者もこれで失敗したことがあります。)
編集する予定がなくても、オリジナルの音源データは非圧縮モードで保存しましょう。

動画編集

ここからの作業は録音スタッフから動画編集スタッフにスイッチしましょう。

動画は、演奏ごとに1ファイルずつ作ります。
ですからまず、サウンドエディターで、音源データを演奏ごとに切り分けていきます。
難易度の高い作業ですが、できれば、ノイズを低減してください。ノイズは完全にカットできなくても、気にならない程度に低減できます。
書き出すデータはwavなどの非圧縮形式にします。

動画編集では、まず、音声データをタイムラインに載せます。
そこに写真などの静止画データを載せていきます。

ところで、動画には必ず演奏者・演目、演奏場所・日時などのクレジットを入れましょう。
また、演奏会の主催者なども動画制作者として明記すると、権利者の所在が明確になります。
主催者の連絡先を入れておくのも忘れないように。

仕上げ

もし、スマホ用のネット動画にするのであれば、演奏を1ファイルずつ、スマホに適したサイズに加工します。
DVDやBlurayを作るのであれば、すべての演奏ファイルをつなげて、オーサリングします。
ただし、動画ファイルは演奏ごとにしておくと、整理しやすくなります。
また、録音スタッフが録ってくれたオリジナル音源は、作業後も消去せずに保管しておきましょう。
将来、再録するような場合、日がくるかもしれません。

まとめ

音楽動画は"見る"ものではなく、"聴く"ものなので、必ずしも映像は必要ありません。写真で代用できますし、そうした音楽動画はYouTubeではよく見かけます。
ですから、演奏会(発表会)を音楽動画にするのであれば、撮影業者よりもプロの録音技術者を優先しましょう。万一、プロの録音技術者が手配できない場合は、専任の録音スタッフを配置し、ベストを尽くしてもらいましょう。

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