YouTubeの動画ダウンロードは危険

YouTubeの動画ダウンロードは危険
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勝手に動画をダウンロードさせない方法では、個人利用であれば、動画ダウンロードそのものは違法ではないだろうと書きました。これは、自分の動画を守るという視点から、著作権法を引き合いにして動画ダウンロードは抑止するのは無理があるので、別の方法を探ろうという趣旨です。
しかし、立場を変えて、他人の動画をダウンロードする側が、著作権法に引っかからなければ、YouTubeの動画をダウンロードしてもいいじゃないかというのは危険です。今回はこの点を掘り下げます。

YouTubeでは、たとえ、その動画が合法で、個人利用のためだとしても、動画をダウンロードすることは禁止されています。
これは著作権法のどうのこうのというのではなく、YouTubeの利用規定によるのです。

お客様は、「ダウンロード」または同様のリンクが本コンテンツについて本サービス上でYouTubeにより表示されている場合を除き、いかなる本コンテンツもダウンロードしてはなりません。

YouTube 利用規約 5-B

つまり、YouTubeがダウンロードボタンやリンクを付けていない限り、YouTube上の動画は原則ダウンロードしてはならないのです。いかなる場合も。

※現在(2020年10月23日)、YouTube 利用規約には上記の上記の条項はありません。

YouTube上の動画ダウンロード禁止は建前

勝手に動画をダウンロードさせない方法で指摘したように、ダウンロード禁止はYouTubeの建前だと私は思います。
なぜなら、ネット上には、YouTube動画をダウンロードできるアプリが出回っており、YouTubeを買収したGoogleのGoogle Playにも堂々と登録されています。また、動画ダウンロードサイトというものも存在し、こちらも「YouTube ダウンロードサイト」でGoogle検索すれば、ちゃんとヒットします。
しかも、これらのアプリやサイトの多くは、単純なアルゴリズムを使っていることが多く、その気になれば、YouTubeがサーバ設定を工夫するだけで、ダウンロードを阻止することができます。しかしYouTubeは今のところ、そのような設定をするつもりはなさそうです。
以上のことから、YouTube上の動画の原則ダウンロード禁止というのは建前だ、と私は見ています。

建前ならダウンロードしてもいい、というわけではない

YouTubeの動画ダウンロード禁止が建前ならば、ダウンロードしていいのかというと、そういうことではありません。
YouTubeが動画のダウンロードを事実上黙認しているのは、禁止できないからではなく、今、禁止するメリットがないからだと思われます。
今は、有料の動画サイトが登場し、対照的に無料のYouTubeの存在感が増しています。さらに無料動画をかき集め、さらにユーザーを取り込む -- そのサイクルがスパイラル状に上昇しているので、ダウンロードはほっといても問題ないのでしょう。
かりに、この先、多くのYouTubeのユーザーが当たり前のようにダウンロードするようになり、そのために、動画の再生回数が目に見えて激減し、広告収入を直撃するようになれば、YouTubeは突然、利用規約を持ち出し、きびしく取り締まり始めるかもしれません。そのとき、泣き言を言っても遅いのです。利用規約を同意したからこそ、使わせているのだというYouTube側の理屈には勝てませんから。"悪質"とみなされた場合には、しかるべき罰が下されることも規定されています。

コンテンツはだれのものか

もう一度、利用規約 5-Bをご覧ください。

お客様は、「ダウンロード」または同様のリンクが本コンテンツについて本サービス上でYouTubeにより表示されている場合を除き、いかなる本コンテンツもダウンロードしてはなりません。

「コンテンツ」というのは、ユーザーがアップロードした動画です。ユーザーの動画にもかかわらず、YouTubeはその動画に「ダウンロード」ボタンやリンクをつけたりつけなかったりできます。しかしユーザーは、自分のコンテンツでも他人にファイルをダウンロードさせるかどうか自分で決定できないのです。(自分の動画はYouTubeの「ダウンロード」ボタンでダウンロードできます。)
つまり、いったんYouTubeに動画をアップロードすると、自分の動画でも自分の思い通りに扱えないのです。この点、留意する必要があります。

現実問題、スマホなどでインターネット上で動画を見ると、カクカクして、ところどころ映像が跳ぶことがよくあります。このような状態では見る方はたまりません。だからこそ、ダウンロードする必要が出てくるのです。しかし、YouTubeはダウンロード禁止を撤回していません。撤回せずに、御目こぼしするだけです。
ですから、この状況に慣れっこになってしまい、ダウンロードすることを前提に、YouTubeを使い続けると、ある日、YouTubeが突然、方向転換し、ダウンロード禁止に本腰を入れた場合、ユーザーは右往左往するハメに陥ります。それがいちばん危険なことです。

自分のホームページにも動画の発信拠点を作る

1回見れば、終わりという動画ならともかく、繰り返し見せたい動画や仲間内でシェアしたい動画を、YouTubeに頼り切っているというのは、不健全だと思います。
動画をYouTubeで公開するのはいいとしても、自分のホームページにも動画発信ページを設け、YouTube動画を埋め込むのではなく、自前で動画を用意し、シェアしたいユーザーにはダウンロードできるようにひと手間かけるべきではないでしょうか。

まとめ

YouTube上の動画は原則ダウンロードしてはならないとYouTubeの利用規約に規定されています。しかし、目下、YouTubeはダウンロードアプリやダウンロードサイトを野放しにしています。建前上、ダウンロードを禁止しているだけだからといって、ダウンロードすることを前提にしていると、突然、YouTubeが方向転換し、ダウンロードにきびしく対処し始めたら、対応できなくなります。繰り返し見せたい動画は、自分のホームページにダウンロードできるシステムを構築しておくべきでしょう。

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