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クリエイティブ・コモンズで著作権を上手に使おう
公開日 2017-12-01 | 更新日 2019年3月19日
前回は、著作権法の基礎について述べました。今回はその実践です。
音楽著作権に強くなろう
著作権はプロ・アマ問わず、すべての創作に適応される権利ですが、財産権という側面があるため、法律の運用においては、すでにメジャーになった「著作物」の保護が中心になりがちです。まだマイナーな人が、いくらJASRACに自身の作品を信託しても、そもそも知られていないので、使おうという人はなかなか現われません。マイナーな人にとって大切なのは、初期の段階では利益を上げようとするのではなく、ともかく作品を広く流通させ、多くの人に認めてもらうことです。その上で、その作品を利用するときは、一定のルールに従ってもらう --そういった運営が望ましいといえます。
こうした現役バリバリのクリエイターのニーズに答えるのが、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスです。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが示す4条件
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)とは、クリエイターが自分の作品の公開に際して、一定の利用ルールを明示し、そのルールに従えば、作品を許可なく自由に使ってもよい という意思表示です。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでは、つぎの4つの条件を挙げています。
1. 表示
著作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示すること。
2. 非営利
営利目的での利用をしないこと
3. 改変禁止
著作物を改変しないこと
4. 継承
改変(二次創作)する場合は、元の著作物と同じ条件のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開すること
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、上記4条件を組み合わせた6種類のライセンスを考案し、さらにそれらをわかりやすい表現したマークを用意しています。クリエイターはこのうちひとつを選んで、自分の作品につけることができます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを提供しているのは、クリエイティブ・コモンズという国際的非営利組織で、日本ではコモンスフィア(CCJP)という団体が担当しています。このコモンスフィアは上記の6種類に加えて、同人マークというライセンスを提供しています。
日本においては、これまで同人文化が非常に活発であり、マンガや小説、音楽、映像、ゲームなどの文化を底支えし続けてきました。しかし、現在、日本のTPP(環太平洋連携協定)への参加により著作権侵害が非親告罪化し、同人作品の発表が委縮してしまう可能性が指摘されています。作者が作品に同人マークを表示すれば、ファンはその作品についてはコミックマーケットなどの同人誌即売会において二次創作同人誌をより安心して販売することができるでしょう。
TPPは推進役だったアメリカが降りたため、今はあまりニュースになりませんが、日本はまだTPPに踏みとどまっています。将来、アメリカをTPPに復帰させるべく、著作権侵害の非親告罪化を推し進めることでしょう。二次創作の芽を踏みつぶすような著作権侵害の非親告罪化が実施される前に、同人マークが普及することを願っています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのメリット
著作者から見た、クラエイティブ・コモンズ・ライセンスのメリットは、何でしょうか?
ルールの則った使い方なら、いちいち許可申請を受けたり、許可を与えたりする必要はありません。
無料なので、集金の必要もありません。ルール外の使用のみ、許可申請を受け、許諾するかどうか、使用料をいくらいするか判断します。
つまり、著作権許諾や使用料回収の事務手続きを簡素化できるので、JASRACのような機関を使わなくても、自分で自分の著作権の管理できます。
ですから、作品によって、著作権を自分で管理するものと、著作権の管理機関に信託するものとに分けることができます。
利用者から見れば、ルール内であれば、許可申請も使用料もないわけですから、作品を利用しやすくなります。とくにインターネット上で拡散していくことが予想されます。
実際、そのようにしてメジャーになった人もいるわけで、これは大きなメリットです。
まとめ
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)とは、著作者が自分の著作物の公開に際して、一定の利用ルールを明示し、そのルールに従えば、作品を許可なく自由に使ってもよい という意思表示です。これによって、著作権の管理は簡素化でき、著作者が自分で管理できるようになります。また、作品がインターネット上で流通しやすくなり、メジャーになっていくきっかけになることもあります。